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【2025年度|診療看護師資格認定試験】共通問題を紐解く⑥

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医療の知識
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はじめに

ここからは問26〜30の解説に移ります。

このブロックでは、これまでの疾患理解中心の問題から一歩進み、薬剤の作用機序・副作用・実際の処方判断に焦点が当てられています。単に薬の名前を知っているかではなく、「どのような場面で、どの薬を選び、どのようなリスクを想定するか」といった、より実践的な臨床力が問われているのが特徴です。

特に、副作用の見抜きや薬剤選択、さらには多剤併用下での異常所見の解釈など、日常診療で頻繁に直面する判断がそのまま出題されている印象を受けました。いわゆる“知識問題”であっても、その背景には必ず臨床の意思決定プロセスが存在しています。

本記事では、それぞれの問題について、薬理の基本に立ち返りながら、なぜその選択になるのか、臨床ではどのように考えるべきかという視点で整理していきます。

問題26:薬理(ACE阻害薬と乾性咳嗽)

副作用として乾性咳嗽を来すことが知られている薬剤はどれか。

a.α遮断薬
b.ループ利尿薬
c.カルシウム拮抗薬
d.ARB
e.ACE阻害薬

解説

乾性咳嗽の原因として最も重要なのが、ACE阻害薬です。

機序:

  • ACE阻害 → ブラジキニン分解抑制 → ブラジキニン蓄積 → 気道刺激 → 咳嗽

一方、

  • ARBはこの経路に関与しない
    → 咳は起こしにくい

診療看護師に求められる視点

重要なのは、

「症状から薬剤性を疑えるか」

です。

慢性咳嗽を見たときに、

  • ACE阻害薬内服 → まず疑う

この一手が出るかどうかで、

不要な検査を避けられる

典型例です。


問題27:糖尿病治療(SGLT2阻害薬の安全管理)

SGLT2阻害薬について正しいのはどれか。

a.体重増加
b.腎機能低下で薬効増強
c.痩せ型高齢者に積極使用
d.周術期も継続
e.水分摂取指導

解説

SGLT2阻害薬の本質は、尿糖排泄による血糖低下です。

その結果:

  • 浸透圧利尿 → 脱水リスク

したがって、

十分な水分摂取指導が必須

他の選択肢:

  • a:体重は減少

  • b:腎機能低下で効果低下

  • c:痩せ型高齢者は慎重

  • d:周術期は休薬(ケトアシドーシス予防)

診療看護師に求められる視点

この問題の本質は、

「薬のメリットとリスクをセットで理解する」

ことです。

SGLT2阻害薬は、

  • 心血管保護

  • 腎保護

というメリットがある一方で、

  • 脱水

  • ケトアシドーシス

というリスクもある。

“いい薬ほど使い方が重要”です。


問題28:感染症(EBウイルス感染症の治療)

16歳男子。発熱,咽頭痛,両側頸部リンパ節腫脹を認める。血清検査でEBV-VCA IgM抗体陽性,EBNA抗体陰性であった。
本疾患に対する治療として適切なのはどれか。

a.アシクロビル
b.アンピシリン
c.シクロスポリン
d.アセトアミノフェン
e.免疫グロブリン

解説

これは典型的な、

伝染性単核球症(EBV感染)です。

治療の原則は、

対症療法

  • 解熱鎮痛 → アセトアミノフェン

他の選択肢:

  • アシクロビル → 効果限定的

  • アンピシリン → 発疹誘発(重要)

  • 免疫抑制 → 不適

  • IVIG → 通常不要

診療看護師に求められる視点

重要なのは、

「治療しない勇気」

です。

ウイルス感染に対して、

  • 抗菌薬を出さない

  • 不要な治療を避ける

👉 過剰医療を防ぐ判断

が問われています。


問題29:感染症(誤嚥性肺炎と緑膿菌リスク)

82歳男性。介護施設入所中。脳梗塞の既往があり,食事中のむせ込みが多い。数日前から発熱と湿性咳嗽が出現した。体温38.2℃,呼吸数24/分,SpO₂ 92%(室内気)。胸部聴診で両側下肺野にcoarse cracklesを聴取する。同施設で緑膿菌肺炎の患者が発生している。
本症例に対する初期治療として最も適切な抗菌薬はどれか。

a.バンコマイシン
b.セフトリアキソン
c.ピペラシリン・タゾバクタム
d.クラリスロマイシン
e.セファゾリン

解説

この症例のポイント:

  • 高齢

  • 誤嚥

  • 施設内

  • 緑膿菌流行

広域カバーが必要

ピペラシリン・タゾバクタムは、

  • グラム陰性菌

  • 嫌気性菌

  • 緑膿菌

すべてカバー可能。

他の選択肢:

  • CTRX → 緑膿菌カバーなし

  • マクロライド → 軽症

  • セファゾリン → スペクトラム不足

診療看護師に求められる視点

重要なのは、

「患者背景から起炎菌を推定する力」

です。

  • 市中か院内か

  • リスク因子は何か

抗菌薬は“状況で選ぶ”ものです。


問題30:薬剤性電解質異常(偽アルドステロン症)

高血圧症および脂質異常症でカルシウム拮抗薬とスタチンを内服中の患者。骨粗鬆症に対してビスホスホネート製剤と芍薬甘草湯の内服を開始した。その後,血圧が170/90 mmHgと上昇し,ACE阻害薬が追加されたが改善しない。
血液検査:空腹時血糖98 mg/dL,総蛋白7.6 g/dL,尿素窒素12 mg/dL,クレアチニン0.7 mg/dL,Na 141 mEq/L,K 1.9 mEq/L,Cl 98 mEq/L,Ca 8.6 mg/dL
この患者に対する対応として適切なのはどれか。

a.芍薬甘草湯中止
b.スタチン中止
c.ACE増量
d.利尿薬追加
e.ビスホスホネート中止

解説

この問題のキーワード:

  • K 1.9(重度低カリウム)

  • 高血圧

  • 漢方(芍薬甘草湯)

👉 偽アルドステロン症

原因:

  • 甘草(グリチルリチン)
    → コルチゾール作用増強
    → Na保持・K排泄

したがって、

原因薬剤の中止が最優先

診療看護師に求められる視点

この問題の本質は、

「薬剤歴を診断に組み込めるか」

です。

  • 原因不明の低K
    → まず薬剤を見る

👉 検査より先に問診

この思考ができるかどうか。


まとめ

今回のテーマは明確です。

「薬を“知っている”から“使いこなす”へ」

共通しているのは:

  • 副作用を見抜く(問題26・30)

  • リスクを管理する(問題27)

  • 不要な治療を避ける(問題28)

  • 状況に応じて選択する(問題29)

この領域で問われているのは、

「処方=思考プロセス」

であるという理解です。

  • 何を使うか

  • なぜ使うか

  • 何に注意するか

この3つを同時に考える力。

診療看護師は、

薬を処方できるため
「薬剤投与の結果に責任を持つ必要があります」

この5問は、その責任の重さと面白さを端的に表しています。


過去問について

今回紹介したのは共通問題から5問を抜粋したものです。

試験では、

  • より実践的な臨床問題

  • 「迷わせる選択肢」
    が多数出題されていました。

「どこが問われるのか」を知ることが最大の対策です

この度、共通問題、総合問題の全問再現をまとめた資料を作成しました。

今後受験する人に役立てればと作成していますので興味がある方はnoteの【2025年度】診療看護師認定試験問題完全再現をぜひチェックしてみてください。

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